東横モハ524 (1/87・12mm) トップページ   目次ページ




 客車屋の私がどうしたことか、3作連続でパンタ物を完成させてしまいました。  このモハ510形は東急の前身である東京横浜電鉄と目黒蒲田電鉄が同一設計で発注した電車で、 昭和6年から11年にかけて日車と川車で50両が製造されています。 戦時体制でいわゆる大東急となった昭和17年に形式が デハ3450形となり、平成元年まで活躍したのはご存知の通りです。
 さて、このキットは鉄道研究会50周年の記念品として配られたものです。 すでに80周年を迎えているので30年前の製品ですね。 製造はOB倉持さんの乗工社に依頼しています。 87分の1の12mmであること、 戦前の姿であることから、自分のモノはとっくに処分して しまったのですが、30年も温めた友人が飾りたいというので 製作を引き受けた次第なのです。 追加工作は不要、動力は含まれていませんが展示用なのでこれも不要、 そんな条件で引き受けましたが、丁寧な素組を目指したつもりです。

外板に窓枠とドアをハンダづけした状態です。 前面と側面の継ぎ目は客用ドア脇という構成になっています。


車体が四角になり補強アングルをつけた状態です。 客用ドアは下端を側板と揃えると上端に段がつきます。 屋根を落とし込んで、ここで位置決めするようになっています。


屋根を固定しました。 実車は屋根が側板に覆いかぶさるようになっていますが、 この模型は内側に落とし込みます。


床下機器は、エアータンクとブレーキシリンダーが挽き物、 それ以外はエッチング板を折って組立ます。 まるでワールド工芸の製品のようです。


屋根上のランボードがついて形になってきたので実車と記念撮影です。 難関であり、この車両の特徴でもある運転席のヒサシを観察します。


ヒサシもなんとか取付。 この製品、シル・ヘッダーやリベットはエッチングで表現。 ただ、二段エッチングを採用しておらず、シル・ヘッダー上の リベットは凹ませて表現するという割り切り設計です。


戦前のグリーンはマッハをはじめ各社の製品にありません。 いさみやで尋ねたところ「皆さん湘南色のグリーンを使っていますよ」 とのこと、車体は湘南色にしましたが、違和感ありません。 屋根はいさみやの鉛丹色です。


電車とバスの博物館に展示されている実車のナンバーは、 切り抜き文字で色は銅色っぽい色でした。 キットには含まれていませんし、製品もないようです。 手持ちのTOMIXの583系のインレタで代用しました。 番号には特にこだわりがないので、社会人になった52年4月から524としました。

製作中、16m級のシル・ヘッダー付の車体は客車に通じるものがあり、 かわいいと思ってしまったのですが、完成写真にその雰囲気は再現できていませんでした。 模型の写真も難しいものですね。 (2016年9月 H・T)

参考文献:鉄道車両ガイド22 東急デハ3450 ネコ・パブリッシング



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