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廃車後にもかかわらず台車部分の塗装が新しいのは何故でしょう。 JR貨物にも博物館の構想があるのでしょうか。
平成19年3月11日 川崎車両所

標記が薄い青で見づらいのですが全検標記は年月欄がブランクです。


 国鉄時代から鉄道貨物と道路輸送の連携は大きな課題で、今までにも様々な試みが行われましたね。 しかし、一度は営業運転を行ったピギーパックも挫折し、定着したのはコンテナぐらいでしょうか。 ただ、実現はせずとも新機軸を盛り込んだ試作車には夢があり、趣味的に興味が尽きないと私は思うのです。
 JR貨物になってからも試行錯誤が続くわけですが、そんな試作車の一つにワ100形があります。 或る日、貨車仲間から「ワ100が東京貨物ターミナルから川崎車両所に移動した」とメールがありました。 早速、川崎車両所に駆けつけてみると、二人の仲間が先に到着していました。 ワ100形は試験終了後は東京貨物ターミナル内に置かれていたそうですが、一般人の前に姿を現わしたことがなく、 私は勿論のことディープな貨車仲間も初めて目にしたのですが、台車部分の塗装が新しく、 整備された姿には暫し見とれてしまいました。
 さて、ワ100形はデュアル・モード・トレーラーシステムと呼ばれる複合一貫輸送のスタイルで、 トラックのトレーラー部分を台車に載せることによって貨車の車体を兼ねるものです。 トレーラーは貨車の番号と道路用のナンバープレートの両方を持っていました。 トレーラーと台車部分は連接構造になっており、ワ100形は3車体4台車で試作されています。
 製造は平成4年と言われますが、鉄道図書刊行会の新車年鑑では新製車の欄に記載がなく、 平成4年3月31日付け両数表に顔を出しているだけです。 現車の全検標記も製造所の日本車輌だけが記入され、年月の欄はブランクになっています。 一方、廃車については新車年鑑にも平成15年3月31日と記載があります。
 ワ100形が実用化されなかった理由としては、鉄道輸送用の強度を持ったトレーラーが道路用としては重い、 連接車なのでトレーラーが道路事情で遅刻すると編成が組めないなどが挙げられているようです。 現代は時間にシビアになり、コンテナも列車の発車間際に持ち込まれることが多くなったそうで、 1台の遅刻で列車が発車出来ないシステムは致命的欠点なんだそうです。
(2009年9月 H・T)

ワ100-902  平成19年3月11日 川崎車両所

ワ100-903  平成19年3月11日 川崎車両所